ブランディング会社の選び方
2026年注目のブランドコンサルティング会社7選|戦略系
2025年12月2日11分読み


エグゼクティブサマリー
イノベーションが加速する一方で、不確実性が高まる現代において、顧客の価値観や期待はビジネスの変化を上回るスピードで移ろっています。こうした環境下で、ブランド戦略を「経営の基盤」として再構築する企業が増えており、その潮流を支える存在としてブランドコンサルティング会社の重要性が高まっています。
2026年を見据えたとき、ブランドコンサルティングは単なるイメージづくりではなく、顧客体験と組織運営を一体化させ、一貫した価値提供を実現する設計力がますます求められるでしょう。本レポートでは、この先駆的役割を担う7社を取り上げ、各社の特徴と強みを比較することで、自社に最適なパートナーを見極めるための判断材料を整理しました。
2026年における「ブランディングのコンサル」のトレンド
ブランド戦略の役割はここ数年で大きく進化しています。かつては広告やデザインを通じた「イメージづくり」が施策の中心でしたが、現在は企業の存在意義や価値提供による「実態づくり」が、ブランド戦略の中核として問われるようになっています。つまり、事業戦略・組織運営・顧客体験と一体化した本質的なブランド戦略が求められているのです。
国内外の先進事例をみると、こうした本質的なアプローチを採用した企業ほど、ブランド価値の向上だけでなく、従業員のエンゲージメントや事業成果の改善にもつなげています。大企業はすでに「ブランド=成長ファクター」として戦略的に位置づけており、2026年に向けては、中堅・中小企業でもこうした位置付けが着実に浸透していくと考えられます。
① 企業ブランドは経営手段の一部になりつつある
近年のブランド戦略における大きな変化は、「ブランド=成長ファクター」として扱われ始めている点です。
- 経営計画・事業戦略
- 組織運営・組織文化
- 顧客体験
- 社員の理解
- 採用力
- プロダクト・サービスの方向性
これらを“ブランド”という共通言語で取り組もうとする企業が増えています。特に、成長著しい中堅企業でその傾向は顕著です。成長フェーズに入ることで組織が拡大し、「企業の意思統一」が必要となるタイミングでブランドが見直される、というのはよくあるパターンです。
② 企業はブランドを「成果で測る」方向へ動き始めた
ブランドは従来、定量的に測りにくいとされてきました。しかし最近では、認知率や好感度、NPS、MVV浸透度などの指標を、経営戦略や事業成果と直接結びつけて活用する企業が増えています。
- 認知率・好感度
- NPS(顧客推奨度)
- ビジョン・MVV浸透度
- 採用応募率・離職率
- 顧客の再購入率
- ブランド指標(ブランド価値指数など)
こうした“成果に直結するブランド指標”を取り入れる動きは、2026年に向けてさらに強まっていくと考えられます。
③ デザイン主導から包括的アプローチへ
ブランドは見た目だけでは成立しません。以前はロゴ・VI制作を軸にブランドが語られることもありましたが、現在はリサーチ・戦略・組織浸透・外部発信が求められる分野へと広がっています。
- リサーチに基づく顧客理解
- パーパス・MVVの再定義
- インナーブランディング
- CX(顧客体験)の統合設計
- 戦略とデザインを接続する仕組み
ブランドコンサルティングに求められる専門性は以前よりも広く深くなっており、支援会社の力量差も大きくなっています。
ブランドコンサルティング会社を選ぶ判断基準
ブランドコンサルティング会社は複数存在しますが、“どこでも同じ”ではありません。企業の課題や成長段階に応じて最適なパートナーを見極めることが重要です。以下に、選定の主要な判断基準をまとめます。
① 戦略設計力(ロジックの再現性)
ブランド戦略にはセンスも求められますが、それ以上に“具体性のある設計”が重要です。中堅企業では特に次の観点が欠かせません。
- 市場のどこで勝つのか(市場・競合の構造理解)
- 誰に何を届けるのか(ターゲットとインサイトの明確化)
- 企業の存在意義・行動指針をいかに明確にするか(パーパス/MVV設計)
- 自社の強みをどう定義するか(競争優位の言語化)
- 事業・サービスをどう整理するか(ブランドアーキテクチャ)
たとえば Interbrand や AXHUM は大企業向けのブランド構造設計に強く、フォアビスタやリスキーブランドは、戦略や理念を現場に落とし込み、実務レベルで機能させる力に優れています。
② インナー運用力(現場で機能する仕組みづくり)
外向けの表現は注目されやすいですが、最終的にブランドを成立させるのは社員です。
- MVV浸透施策
- 社内教材や社内報などの社員向けコンテンツ
- 組織風土に合わせた巻き込み(トップメッセージ、ワークショップなど)
- ブランドガイドラインの運用
特に「継続的に運用される仕組み」まで設計できるかどうかが質を分けます。この領域に強いかどうかが、プロジェクトの成功確率を大きく左右します。
③ クリエイティブ展開力
ブランドは「戦略=ロジック」と「クリエイティブ=感性」の両輪が必要です。この接続を誤ると、整理した言葉と現場で見せる表現がまったく別物になり、顧客にも社員にも届きません。
- ロゴマーク・VI開発
- ネーミング・ブランドメッセージ開発
- Webサイト・デジタルコンテンツ・会社案内制作
- 広告・プロモーション・動画など各種表現
戦略意図を効果的に表現するビジュアル・コピー・Web・動画などへ一貫して展開できるかが、選定の重要ポイントになります。
④ 費用対効果(ブランド投資の妥当性)
ブランドコンサルティングの費用体系はわかりにくく、比較もしづらいものです。同じ“ブランド戦略”でも、内容によって価格は大きく変わるので、費用対効果を見極めながら綿密に事前調整を行う必要があります。
費用構造が透明で、成果指標(KPI/KGI)と投資の紐づけが説明できる会社かどうかも判断材料になります。
⑤ 適合性(自社のサイズ・フェーズに適した支援会社か)
大企業向けの方法が中堅企業に合うとは限りません。ここを軽視すると進行が重くなり、成果が出づらくなります。
自社の意思決定スピード、体制規模、ブランドの成長段階に合わせたアプローチを提案できるかが鍵になります。
2026年注目のブランドコンサルティング会社<ブランド戦略系>7選
以下では、選定した7社を「どのような強みがあり、誰に合うのか」という視点から整理しました。各社の特徴や得意領域を比較しながら、他社との違いを具体的に示しています。
注目のブランドコンサルティング会社①「フォアビスタ」

フォアビスタは、中堅〜中小企業や成長フェーズ企業の「ブランド基盤づくり」を最も得意とする会社の一つです。理念・MVV策定からブランド戦略、VI設計、Web制作、インナーブランディングまでを一気通貫で支援できる体制が特徴で、経営層と現場の“認識のずれ”を丁寧に整えながらブランドを実装していくスタイルが印象的です。
特に、複雑な概念を噛み砕き、実レベルに落とし込む力は、フォアビスタならではの強みといえます。
注目のブランドコンサルティング会社②「AXHUM(アクサム)」

CI/VI設計の老舗「PAOS」の出身者が率いるブランドコンサルティング会社。理念・パーパスといった上流概念から、組織設計、ガイドライン策定、デザイン開発に至るまで、企業内部の構造と外部表現の接続を重視した支援を提供しています。
注目のブランドコンサルティング会社③「リスキーブランド」

心理・価値観に踏み込んだリサーチに強く、ターゲット行動の理解を軸にブランド戦略を設計します。BtoB企業の支援実績が豊富で、「意思決定の背景を読み解く」スタイルが特徴です。
注目のブランドコンサルティング会社④「Interbrand Japan」

世界最大規模のブランドコンサルティングファームの日本法人です。ブランド価値評価やブランドアーキテクチャの構築は世界的に定評があり、大企業のブランド再編プロジェクトでは強い存在感があります。
注目のブランドコンサルティング会社⑤「博報堂コンサルティング」

博報堂グループの知見を活かし、パーパス策定からブランド体験設計、インナーブランディングまで一気通貫で支援します。広告会社の印象を持つ方もいるかもしれませんが、実際にはブランドと事業を統合する戦略領域に強みがあります。
注目のブランドコンサルティング会社⑥「電通コンサルティング」

企業の持続的成長(“真のグロース”)」を支える伴走型のグロース特化ファームです。「デザイン的な発想×論理的思考」の両立により、課題の探索から構想までを統合的に設計。顧客体験や組織文化改革も含め、ブランドを事業成長の核に据える支援が特徴です。
注目のブランドコンサルティング会社⑦「タナベコンサルティンググループ」

コンサルティングファームとしての歴史が長く、経営全体を俯瞰しながらブランドを設計するスタイルが定評です。PR・広報領域とも連動し、ブランド価値と市場認知の両方を高めるアプローチが可能です。
ブランドコンサルティング会社「7社」のタイプ比較
ブランドコンサルティング会社は、それぞれ得意分野や支援スタイルが異なります。比較表では、特徴、インナー運用、クリエイティブ展開、費用レンジ、顧客の規模という6つの観点で整理しました。
自社の目的や課題・フェーズに合わせたパートナー選びの指針として活用してください。
| ブランド コンサルティング会社 | 特徴 | インナー運用 | クリエイティブ 展開 | 費用レンジ | 顧客の規模 |
|---|---|---|---|---|---|
| フォアビスタ | MVV・戦略・実行の 一気通貫 | ◎ | ◎ | 中 | 中堅・中小 |
| AXHUM | CI再構築の専門性 | ○ | ◎ | 高 | 中堅〜大企業 |
| リスキーブランド | リサーチ起点 | △ | ○ | 中〜高 | 中堅〜大企業 |
| Interbrand Japan | グローバル基準の ブランド構造設計 | ○ | ◎ | 高 | 大企業〜 グローバル企業 |
| 博報堂 コンサルティング | パーパス×体験設計 | ○ | ◎ | 高 | 中堅〜大企業 |
| 電通 コンサルティング | 事業戦略と統合したブランド戦略設計 | ◎ | ◎ | 高 | 中堅〜大企業 |
| タナベ コンサルティング | 経営戦略統合型 | ○ | ○ | 中〜高 | 中堅〜大企業 |
まとめ ──2026年、いかにブランドコンサルティング会社を選ぶか?
ブランドは、企業の成長を支える重要な経営資源です。社員がブランドの価値を理解し、日々の意思決定や行動に反映できること、そして顧客に一貫した価値体験を届けること。この両方を実現することで、ブランドは事業成果を生み出す力となります。
こうしたブランド戦略を効果的に実現できるパートナーを選ぶことは、企業成長における重要な“意思決定”であり“経営投資”に他なりません。ブランドは一度つくって終わりではなく、育て続けるもの。ブランドコンサルティング会社の選択は、自社の成長の方向性に合わせて慎重に行うことが求められます。
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この記事・レポートについて
この記事・レポートは、20年以上にわたるブランディング実績と、ブランド戦略に関する最新事例の研究に基づいてフォアビスタ株式会社が執筆したものです。ブランディングにおける課題解決の糸口、戦略実行のヒント、実施施策のノウハウを提供しています。



























