ブランディングの考え方

企業向けブランディングの種類-ブランディングとは? その3/6-

2025年2月24日6分読み

企業向けブランディングの種類-ブランディングとは? その3/6-

エグゼクティブサマリー

本記事では、企業向けのブランディングを大きく5つに分類し、それぞれの目的や戦略を解説します。企業全体の信頼性や競争優位性を高める「企業ブランディング」、市場に向けたブランド価値の確立を目指す「事業(商品・サービス)ブランディング」、企業の存在意義を軸にした「パーパスブランディング」、社内浸透を促す「インナーブランディング」、そして外部ステークホルダーへの発信を強化する「アウターブランディング」です。

これらのブランディング戦略は、それぞれ異なる目的を持ちながらも、最終的にはブランド価値の向上につながります。本記事では、各ブランディングの具体的な施策を紹介し、企業が自社の課題や目指す方向性に応じて適切な戦略を選択できるよう、実践的な視点から解説します。

企業向けブランディングの種類

ブランディングにはさまざまな種類があります。地域ブランディングやリテールブランディング、個人ブランディングなど、対象を限定したものもあります。本記事では、企業向けの主なブランディングとして、以下の5つを紹介します。

  1. 企業ブランディング
  2. 事業(商品・サービス)ブランディング
  3. パーパスブランディング
  4. インナーブランディング
  5. アウターブランディング

① 企業ブランディング

企業ブランディングとは、企業全体のアイデンティティを戦略的に確立し、社内外のステークホルダーに一貫したメッセージを伝える取り組みです。企業の理念やパーパス、ミッション、ビジョン、価値観を明確にし、それを発信することで、信頼性を高め、競争優位性を築きます。

企業ブランディングの成果により、顧客や投資家の信頼を獲得できるだけでなく、優秀な人材の採用や従業員のモチベーション向上にもつながります。

企業ブランディングの具体的な施策

  • 企業理念の明確化と共有:理念・パーパス・MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を策定し、全社で共有する
  • ビジュアルアイデンティティの統一:ロゴ、カラー、デザイン要素を統一し、ブランドイメージを確立する
  • ブランドメッセージの発信:企業の価値を伝えるメッセージを開発し、発信する
  • オウンドメディアの活用:企業Webサイトや会社案内を通じて、価値観や取り組みを発信する
  • SNSを活用した情報発信:企業の価値観や最新情報を共有し、顧客との関係を深める

事業(商品・サービス)ブランディング

事業(商品・サービス)ブランディングとは、マーケットを見据えながらブランドイメージを確立し、その価値や独自性を顧客に伝える活動です。ステークホルダー全般ではなく、主に顧客を対象とする点が特徴です。

事業ブランディングが実を結ぶと、ブランドへのロイヤルティが高まり、市場シェアや売上の拡大につながります。

事業(商品・サービス)ブランディングの具体的な施策

  • 市場調査:顧客ニーズや競合分析を行い、ブランドのポジショニングを決定
  • 顧客プロファイリング:ターゲット層を明確にし、効果的なマーケティング戦略を策定
  • ブランドクリエイション:ブランドメッセージやロゴの開発、新規事業・商品のネーミング
  • ブランドコミュニケーション:Webサイト、広告、PRを活用してブランド認知を拡大
  • 顧客サポート強化:購入後のサポートを充実させ、継続的にブランド価値を向上

パーパスブランディング

パーパスブランディングとは、企業の存在意義や社会的使命を明確にし、それをブランドの中心に据える取り組みです。企業がどのように社会に貢献し、ステークホルダーと共に成長していくかを示すことが重要です。

適切なパーパスを掲げることで、企業文化が育まれ、従業員のエンゲージメント向上や社会的評価の向上につながります。

パーパスブランディングの具体的な施策

  • パーパスの定義:企業の目的や存在意義を明確化
  • パーパス浸透プログラム:社内外にパーパスを浸透させる計画の策定
  • 社内への浸透施策:経営層の実践、ワークショップの実施、社内報の活用
  • 社外への発信:PR活動、広告キャンペーン、NPOやインフルエンサーとの連携
  • パーパスの評価:定期的な評価を実施し、施策の改善につなげる

インナーブランディング

インナーブランディングとは、企業の理念やパーパス、MVV、ブランド価値を社内に浸透させ、従業員の行動変革を促す取り組みです。

インナーブランディングの成果により、従業員のエンゲージメントが向上し、生産性向上や離職率の低下につながります。また、顧客接点でのブランド体験の一貫性が保たれるため、企業全体のブランド価値が高まります。

インナーブランディングの具体的な施策

  • エンゲージメント向上プログラム:理念・MVVを理解するワークショップやコンテストの実施
  • コミュニケーション強化:社内報やイントラネットを活用し、情報を共有
  • リーダーシップ強化:ブランドアンバサダーとして経営層・管理職が積極的に発信
  • ブランドブックの配布:理念やMVVを明文化し、全従業員に配布
  • 評価制度の見直し:ブランド価値に基づいた行動・成果を評価
  • 社内イベントの開催:チームビルディングを促進し、ブランド文化を醸成

アウターブランディング

顧客や取引先、一般社会などの外部ステークホルダーに向けて、企業や事業、商品、サービスのブランドイメージを戦略的に確立し、広める活動がアウターブランディングです。 アウターブランディングでは、ブランドの知名度やロイヤルティの向上、好感や共感の醸成を目指します。

アウターブランディングの具体的な施策

  • ブランドクリエイション:企業や事業、商品・サービスの独自性を際立たせるブランドメッセージやロゴマークを開発
  • オウンドメディア展開(自社メディア):ブランド戦略に沿ったWebサイト、ブログ、カタログ、ホワイトペーパー、セミナーなどの制作・運用
  • ペイドメディア展開(有料広告):マス広告、Web広告、展示会などの実施を通じたブランド発信
  • シェアードメディア展開(SNS):X(旧Twitter)、Facebook、YouTube、Instagramなどを活用したブランドコミュニケーション
  • アーンドメディア展開(第三者による発信):フリーパブリシティ(報道・口コミ)、プレスリリースの配信・活用

まとめ

企業の成長戦略において、企業向けブランディングは重要な役割を果たします。企業全体の信頼や競争力を強化するもの、特定の事業や商品・サービスの価値を高めるもの、企業の存在意義を明確にし、社会とのつながりを深めるものなど、それぞれのブランディングが異なる目的を持ちつつも、最終的にはブランド価値の向上につながります。また、社内の意識改革を促す取り組みや、外部ステークホルダーへの発信を通じて、ブランドの一貫性を保つことも重要です。

企業の課題や目指す方向性に応じて、適切なブランディング戦略を組み合わせることで、持続的な成長が可能になります。

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この記事・レポートについて

この記事・レポートは、20年以上にわたるブランディング実績と、ブランド戦略に関する最新事例の研究に基づいてフォアビスタ株式会社が執筆したものです。ブランディングにおける課題解決の糸口、戦略実行のヒント、実施施策のノウハウを提供しています。

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そのブランドに、次の一手を。経営視点のブランディングで、成長を加速させる会社です。そのブランドに、次の一手を。経営視点のブランディングで、成長を加速させる会社です。お問い合わせフォームお問い合わせフォーム