ブランディングの考え方
ブランディングの「メリット」と「デメリット」-ブランディングとは? その2/6-
2025年2月17日2分読み


エグゼクティブサマリー
ブランディングの「基本」と「トレンド」に続く本記事では、ブランディングのメリットとデメリットを解説します。ブランディングは、顧客との信頼構築や企業価値の明確化といったメリットがある一方、一貫性の維持の難しさや成果が出るまでの時間がかかるといった難点もあります。ブランディングを成功に導くためには、これらを理解し、計画的に取り組むことが求められます。
ブランディングの「メリット」と「デメリット」
ブランディングには多くのメリットがありますが、注意すべき点もあります。効果的に活用するためには、メリットだけでなく、難しさやリスクについても理解しておくことが必要です。
ブランディングの「メリット」
ブランディングがうまく作用すると、企業や商品の価値がより伝わりやすくなります。まずは、その主なメリットを見ていきましょう。
(1)顧客の認知と信頼の向上
ブランディングは、企業の存在を顧客に認知してもらい、信頼関係を築くための強力な手段です。ブランドイメージが確立されると、顧客は企業や製品・サービスに対して好意的になり、継続的に支持する傾向が強まります。

例)Appleは革新性と品質の象徴として広く認知されており、ユーザーは製品に対する信頼感を持っています。
(2)価値の明確化と伝達
企業の提供する価値や独自性を明確にし、ステークホルダーに伝える役割を果たします。ブランドの方向性が定まっていれば、価値が伝わりやすくなり、顧客や取引先の共感や支持を得やすくなります。

例)サントリーの「水と生きる」というブランドメッセージは、事業面での成功だけでなく、社会的な役割を果たす企業姿勢を伝えています。
(3)優秀な人材の獲得と定着
ブランドの魅力が高まると、優秀な人材を惹きつけるだけでなく、社員のエンゲージメント向上にもつながります。企業文化がブランドと一貫していれば、従業員は誇りを持って働くことができます。

例)Googleは、革新的で魅力的な企業文化をブランドとして確立し、世界中からトップクラスの人材を集めています。


ブランディングの「デメリット(難点)」
一方で、ブランディングにはメリットだけでなく、取り組む上での難しさもあります。適切に進めないと計画が頓挫する可能性もあるため、以下のような難しさを理解しておく必要があります。
(1)一貫性の維持が難しい
ブランディングは一貫性が求められるため、市場環境や社会の変化に対して柔軟に対応することが難しい場合があります。一貫性が揺らぐと、ステークホルダーの信頼を損なうリスクもあります。

例)スターバックスは、グローバルで一貫したブランド体験を提供しつつ、各国の文化や嗜好に合わせた商品展開を行うことで、ブランドの柔軟性と一貫性を両立させています。
(2)成果が出るまでに時間がかかる
ブランディングの効果は短期間では現れにくく、長期的な取り組みが必要です。施策の実施には時間がかかり、継続的な浸透活動も求められます。

例)The North Faceは設立後30年かけてアウトドア愛好家の間でブランドを確立し、さらに30年をかけて市場で主要ブランドの一つとなりました。
(3)過去のブランディングに依存できない
かつて成功したブランディングが、業態の進化や社会の価値観・トレンドの変化に適応できず、ブランドイメージが陳腐化するリスクがあります。ブランド価値を維持するためには、継続的な見直しとブラッシュアップが不可欠です。

例)Netflixは、デジタル配信の先駆者として成功した後も、独自コンテンツの制作やストリーミング技術の向上に注力し、ブランド体験を進化させ続けています。
まとめ
ブランディングは企業価値を高める一方で、継続的な取り組みが求められるものです。信頼の構築や価値の明確化などのメリットがある反面、一貫性の維持や成果が出るまでの時間がかかるといった課題も伴います。これらを理解し、長期的な視点で戦略的にブランディングを進めることが重要です。
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この記事・レポートについて
この記事・レポートは、20年以上にわたるブランディング実績と、ブランド戦略に関する最新事例の研究に基づいてフォアビスタ株式会社が執筆したものです。ブランディングにおける課題解決の糸口、戦略実行のヒント、実施施策のノウハウを提供しています。
